Y塾は地方都市で堅実な経営をしていることで、業界でも定評がある。
いち早くアウトソーシングした高校部も順調で、三校目を出して半年で100名を突破した。塾長は自分より年長の総務部長を「金庫番」兼「秘書」として、つねに愛車のベンツ500シリーズに同乗させている。
「普通、秘書といえば麗しく若い女性なんだろうが、俺はそういうことは・・・社員の手前絶対できない。実質的なことをやってくれる秘書でないと駄目だよ。成長期にある会社のために経営トップの自分と幹部が何をすべきか、現場を回りながらつねに考えて実行に移していく・・・そういう経営のスピードが求められているし、社員に意識改革のためにも私たち経営陣はいつも動いていないと駄目なんだ」
以前乗っていたBMW5シリーズは5年で15万キロ、今度のベンツも2年で7万キロを越えた。しかし、塾長の出張は必ず電車か深夜バス・・・通勤だけでなく校舎まわりを繰り返した結果の数値なのだ。
「電車とバスが使えたらエコ出張・・・車は乗り潰す主義。格好つけて外車に乗っているわけじゃない。燃費は悪いけど、季節に関係なく耐久性があり頑丈だからだ。社員のために簡単に死ぬわけにはいかないし、一緒に連れて行く幹部のためにも丈夫な車がいいよね・・・」
ちなみに、有言実行の塾長は「塾が潰れそうになったら軽自動車に乗る」と社員に約束しているという。社員に対するマニフェストも大事な時代になってきた。