新興の中堅D塾は「進出先では必ず地域一番塾になる」と豪語、エネルギッシュな塾長以下全社員が「自家発電型バリバリ講師」の体制で毎月新規開校を実現してきた・・・しかし!
「仕事に集中しすぎて、精神的におかしくなった若手社員が増えた・・・顧問に相談したら “癒しが必要だな ” ということで、今流行の『猫カフェ』を塾内につくることにした」
社員のカンパも含めてかなりの資金が集まり、上品な猫たちが揃った。カフェといっても人材難の時代なのでセルフサービス。猫好きの塾長の奥さんが朝から晩まで世話役として活躍している。
「パソコンで報告書や教材づくり、授業と質問対応で疲れた社員たちが帰宅前や残業の前後に気持ちを癒しにくる・・・猫たちは裏切らないねえ。存在だけで癒されるらしいが、相性の良い猫とは朝昼晩と挨拶にくる社員もいる」
この「猫部屋」は生徒たちにも大人気で、特に女子生徒は「猫部屋」がある塾という理由だけで数十名が増えたという。
「もしかすると、社員の癒しと生徒の心のケアという一石二鳥のアイデアかもしれない。今の時代、何が当たるかわからないね」
塾長は改めて「何か奇抜なアイデアがあったらどんなことでも提案してほしい」と社員に言い、「採用されたアイデアには賞金を、成功したものには手当てを」という特別報酬の支給を決めた。
「キーワードは・・・時代がいくら変わっても、やはり“ハート”なのかもしれない。心を込めて指導するためには、講師のハートが正常に保たれていないといけないね」
自分を裏切らない存在のために頑張っていく・・・たかが猫と思ってはいけない。
豚々拍子
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