いじめの問題が際限がないほどの広がりをみせている。誰もが知っているようにいじめはどこにでもある。今回はそれがさまざまな形で表面化したわけだが、隠れてしまうよりオモテに出たほうが解決の糸口を見つけやすいという意味で、問題の広がりは歓迎してよかろう。とはいうものの、これ以上、命を捨てる子が出ることだけは食い止めなければならない。
では、われわれ塾ができることはなんだろう。いろいろと策はあるだろうが、さしあたり塾が子どもの緊急避難の場、「シェルター」になることを提案したい。
いじめは、いじめられている当事者が、いじめのある環境にいなければならないと思い込んでいるほど深刻化する。「学校に行かなくても勉強はできるから塾にいらっしゃい」と伝えるだけでも救われる子はいるだろう。その後で、時期を見計らって関係者と解決策を探っても遅くはあるまい。
おりしも11月17日、この問題に関して文科相名で「文部科学大臣からのお願い」と題された2通のメッセージが発せられた。1通は子どもたち向けのもので宛先は「未来のある君たちへ」。もう1通は大人向けのもので宛先は「お父さん、お母さん、ご家族の皆さん、学校や塾の先生、スポーツ指導者、地域のみなさんへ」。
じつは文部大臣がこの種のメッセージを発するのは初めてではない。ちょうど10年前の1996年1月、当時の文相が「緊急アピール~かけがいのない子どもの命を守るために~」というメッセージを出している。このときの宛名に塾はなかった。この10年の間に塾は、それだけ世間から期待されるようになっているのだ。微力ではあっても期待に応えるべく、できるだけの努力をしようではないか。
Written by PSC
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