学校長の自殺まで出した高校の科目未履修問題は、2単位以下の場合50時間の補習プラスレポート、それを超える場合は70時間の補習プラスレポート、既卆者についてはお構いなしという文科省の決定で決着がついたようだ。
波風を大きく立てないうちにことを収めようとする大人の対応ではある。しかしこの大人の対応で、本当に決着がついたのだろうか。
法は条件法で書かれたエッセイである――有名な、英国の思想家H・J・ラスキの言葉である。法はだれもが守ってはじめて法として機能する。が、多数が守らなければ法典に記されたただの文章に過ぎないというほどの意味だ。
判明しただけで全国の高校の1割、ということは進学者の多い高校のおそらくは3割、4割が守らない、守れないルール。そうしたルールをわれわれはどう考えればよいのだろう。
ルールを撤廃して代替制度を案出するか、守れる条件を整えるか、それとも他になにか妙案をひねり出すか。いずれにしても文科省は「守れない法」をそのまま放置するのではなく、速やかに他の手を編み出す必要があろう。さもないと、自らが推し進める「公教育」にとってもっとも肝要な「倫理」を、自らないがしろにすることになる。
Written by PSC
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