※取材塾は匿名としてあります。また、各項目の内容は複数の塾の情報を合体してあります。
地域一番塾を自負していたはずのD塾の合格実績が急速に落ち込んでいる。塾長は「ブランドの低下が心配だ」と言う。
「かつてないほど経営が深刻だ・・・何が原因という特定できるものはなくて、全体が悪い。宣伝広告にしても生徒募集につながらないし、指導を徹底しても合格実績が伸びない・・・少子化と学力低下、親の意識の低下、いろいろありすぎて対策が立てられない。うちは、この地域では比較的早くにブランドを確立したと自負していたんだけど・・・最近は口コミで入塾するケースが極端に減り、冷やかしが増えてショックを受けている」
塾長がこの十数年続けてきた「ブランド戦略」とは、「他塾が真似できないことをやる」というものだったが、最近は差別化がはっきりできなくなってきた。
「これだけ塾が増えて一般化すると・・・大手塾の多店舗展開が大きな要因だけど・・・差別化は大変難しい。ツールの共有で業界スタンダードが増えすぎて、違うツールを使っているところがないほど平準化された」
東海中部のある地区などでは、ライバル塾同士が同じツールを使い合ったりしている。特色ある教育というよりも、良いものは何でも使う業界に変質してきたのだ。
「それが時代の流れになって、逆にその流れに乗らないで特色あることをしていると偏屈な旧い塾と看做されるようになってしまった・・・大型化した安心塾、ありふれたツールを使う標準化された塾、そういうもののほうが保護者も生徒も受け入れやすくなった」
いま、D塾も大転換を余儀なくされつつある・・・業態だけでなく、時代の中で生き残る塾に対する意識も。
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