C塾長は、創立以来何事も「ランキング」にするのが大好きだ。生徒の成績もトップ30くらいまではランキングを張り出す。良い効果が期待できる時もあるし、クレームの原因になる時もある。
「情熱が先走って・・・つい過激になってしまう時もあるね。その結果、『成績上位の人だけを大事にしているのではないか?』という疑念を持たれたこともある」
何にでもランキングをつけるのは良し悪しであるが、C塾長のように“信念”があれば、多少の波風も乗り切ることができる。「子供を競い合わせて、ランキングの面白さを実感させたい・・・」ということだけでは生徒や親に誤解されてしまう。
「ランキングはあくまでも “ モチベーション ” をアップさせるための手段にすぎない。手段が目的になってはいけないんだ。本来の目的は “ 勉強の習慣づけ ” だし、勉強の習慣や知識、考え方が身につかなかったら、塾に来てまで学習する意味はない」
そこで塾長は講師のランキングづけを厳しくして、生徒のランキングは緩やかなものにした。そうすることで、親たちの反発を緩和しようとしたのだ。
「指導する講師が厳しく選別されていると分かれば、親もある程度納得するんです。生徒だけが厳しくされているという印象は良くないんですよ」
科目別の指導力やテスト対策の上手さなど、具体的な評価によるランキングは、生徒も親も講師を見る目が変わっていく・・・ただし、これには裏がある。
「いろんな評価をすることで、どんな講師にも得意・不得意があるということを生徒や親に知ってもらう。科目指導では人気のない講師も合宿では大活躍しているとか、教育相談や入試資料作成では他の追随を許さないとか・・・スペシャリストの面を際立たせるためのランキングなんだ」
ある時期、ベテランの領域に達してきたら、「ランキングの対象から外す」のだという。
「ベテランの講師をいつまでもランキングに出していると、バランスが悪くなる。若手の指導もしているしねえ・・・」
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