1月7日付けの日本経済新聞(夕刊)によると、景気悪化の逆風の中で「低価格」「独自性」を売り物にした企業が収益を伸ばしているという。
同社が上場3千788社を対象に、直近決算期の業績見通しを集計したところ、輸出企業の不振で上場企業全体では大幅な経営減益となるが、増収増益を見込む企業は千102社と全体の29%、2ケタ増収増益かつ最高益は5%ある。
家具販売のニトリは2009年2月期の売上高と経常利益がともに前期比11%増え、過去最高となる見通しだ。消費者の節約志向にあわせて昨年6月以降3回、累計1千品目で値下げを実施。既存店の売り上げが伸びているうえ、円高による商品輸入コストの低減も寄与する。
靴販売のエービーシー・マートも「値ごろ感」を打ち出した自社企画の登山靴などが好調。カジュアル衣料販売のポイントはファッション性の髙い低価格商品が伸びているうえ、「中規模ブランドの拡大で採算改善も進んでいる」(石井稔晃社長)。
ヤマダ電機は積極出店や大規模仕入れによる原価低減が奏功する。
飲食店検索サイトのカカクコムは、消費者がより割安な商品・サービスを求める動きを強めていることが収益増につながっている。
3月期決算企業の09年3月期の連結経常利益は前期比32%減少し、7期ぶりの減益になる見通しだ。自動車や電機など国際展開する製造業の業績悪化が直撃する。しかし、小売りのほか、昨年前半の資源高の恩恵を受けた商社、景気低迷を背景とした消費者の「内食」回帰が追い風の食品関連企業などでは、増収増益を見込む企業が目立つ。
株式市場でも内需関連株が人気を集めている。DVDなどのレンタルを手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブの株価は昨年10月末から直近まで4割近く上昇。「ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングの株価も同期間で3割高くなっている。
【49の眼】
厳しい中でも増収増益企業が30%もあるというのは、まだまだ日本の企業も捨てたものじゃない。不況を背景としたなかでは、「割安感」や「サービス」、「独自性」が問われていることが大切なことはいうまでもない。
新年度に向け、「時代の風」を読み切ったもののみが勝利するだろう。
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