B塾は大都会の真ん中にあり、大手塾に囲まれて必死に独自の取り組みをしている中堅塾だ。数年前から、北海道や沖縄など、まだ大自然の残る場所を求めて自然体験合宿を行ってきた。
「机の上の教育の限界を感じています。子供たちの感覚に残る教育は、現場でやらないと駄目です。環境教育は自然の中で体験してもらわないことには、自然の素晴らしさも環境汚染の危機的状況も理解できないのです」
塾長はかつて南極観測船で越冬隊に参加したいと猛勉強した覚えがある。その途中で親が亡くなり、塾を継ぐことになったのだが、潰えた自分の夢を教え子の誰かが継いで欲しいと願っている。
「難関中高や大学に入るだけの塾では嫌なんですよ。政治家や経営者で成功するのも・・・そういう器の人がやればいいんです。私は教え子の誰かが、南極に行ってボロボロの地球を救う研究をするとか、宇宙飛行士になって宇宙から地球を見るとか・・・そういう人材がたくさん育ってくれればいいと思っています」
塾長は「輝く人材の育成」を新しい夢として生き生きと指導にあたっている。そのために、「できるだけ理想に近い教育環境づくり」を心がけており、そのための投資は惜しまない。
「当世の不景気から、なかなか思うように設備投資が進まないが、せめて指導する人材だけは個性的で子供好きの人を確保したい。優秀さというのは・・・求めればキリがないしね」
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