高校の未履修問題が片付いたと思ったら、中学校でも同じ問題が生じているそうだ。
文科省によると、必修教科の授業そのものがなかったり、授業時間が不足していたのは全国の中学校の0.7%にあたる72校。いずれも私立中だったという。
政府の一部には、こうした事実が判明したのをこれ幸いと、なにかと思うようにならない私立校への圧力に利用しようという動きもあるようだが、そんな火事場泥棒をする前に考えていただきたいことがある。
未開設の教科は「技術・家庭」「音楽」「美術」などで、「道徳」が34%と最多。授業時間が少なかったのはおもに「技術・家庭」だったそうだ。
「道徳」は別問題として、こうした実技系の教科を中学校でまで必修にしておく必要がほんとうにあるのだろうか。
中学生ともなれば、教師よりも上手に楽器を演奏できる生徒はいくらでもいるし、みごとな絵を描く生徒もいる。情操教育が大事なことはわかるが、すでに小学校で一通り指導は行っているはずだ。また、毎日の運動が大切というなら、ほとんどの生徒が属する体育系の部活動がある。あえて必修に定める意義は薄い。
そこで、併せてお考えいただきたいのが目下、政府部内で検討中といわれるバウチャー制度である。
この制度は学校選択制を前提にしている。
しかし周知のように、わが国には、選択できる公立校がいくつもあって、なおかつ私立校も存在するというような地域はさほど多くはない。学校選択制を前提にしている限り、バウチャー制度は絵に描いたモチになる可能性のほうが高いといってもよい。
ならば、バウチャーの対象を少し拡大して、民間の教育機関でも使えるようにできないか。
民間には優れた能力を持つピアノ教室もあれば絵画教室もある。スポーツクラブだってある。
Written by PSC