教育再生会議の野依良治座長が、塾禁止を提言に盛り込むよう述べていたことが24日、一斉に報じられた。問題の発言は12月8日に開催された同会議「規範意識・家族・地域教育再生分科会(第2分科会)」の第3回会合のなかで飛び出した。
発言を引用する。
「塾をやめさせて、放課後子供プランをやらせといけない(筆者注/「放課後…」は文科省が来年度導入予定の「放課後子どもプラン」のこと。また「やらせといけない」は「やらせないといけない」の意?)。「塾は出来ない子が行くためには必要だが、普通以上の子供は塾禁止にすべきだと思う。」
「公教育を再生させる代わりに塾禁止とする。それくらいのメッセージを出していいのではないか。昔できていたことが何故今できないのか。我々は塾に行かずにやってきた。大学も誰でも入れるようになっている。難しくない。塾の商業政策に乗っているのではないか。」
(「日本の数学のレベルは学校ではなくて、塾によって維持されている、という面もある」という同僚委員の発言に対して)「それは学校がやるべきこと。もちろん学校は再生させなければならないが、その代わりに塾をやめさせる。そして、遊びだけではなく、文化・文芸を勉強する。」
「我々のころは、部活もやって、その後、休憩してご飯を食べて、勉強していた。塾も行っていない。」
以上の発言は「議事要旨」のものである。したがって正確な内容は議事録の発表を待たなければならないが、明らかに暴言ないしは妄言に類する発言というべきであろう。
周知のように、塾はこれまで必要以上に不当に評価されてきた。いわゆる有識者や権力者から心ない言葉を浴びせ掛けられたことも数限りなくある。
しかし、そうした誹謗中傷にも臆することなく地道な努力を重ねた結果、とくに1990年代中葉以降は、たとえば経済同友会の教育提言「学校から『合校』へ」(95年4月)、文部省の生涯学習審議会答申「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」(99年6月)、小淵内閣の「21世紀日本の構想」懇談会報告「日本のフロンティアは日本の中にある」(01年1月)などに示されているように、国家・社会から一定の評価をいただくまでに至っている。
にもかかわらず、ここへ来てこの発言である。同氏の塾認識は90年代、というよりも80年代の臨教審以前のものといってよい。
同氏はかりにも、閣議決定により設置され、首相・官房長官・文科相が構成員となり、首相が開催する「教育再生会議」の座長である。発言も同会議の中で公的に行なわれた。その発言にはそれなりの重みがあり、われわれはそれを単なる妄言として看過することはできない。
幸いにも同会議はホットラインを設置して、国民の声を聴く態勢を整えている。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/hotline.html
冬期講習のご多忙なさなかであろうが、降り掛かった火の粉は払わなければならぬ。みんなで抗議の声をあげようではないか。
Written by PSC
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